映画

『百日紅』

ファーストショットで目の前に広がった風景、「江戸に来た!」と思った。素晴らしかった。浮世絵っておもしろい。中でも、ものすごくシンプルなのに見飽きない線ってのがあって、それってなんだろう、と思ってたけど『百日紅』の中で面白いことは全部体験し…

エレナの惑い

すごく面白かった! 視点が変わるのではなく、ピントが合う瞬間を切り取る。 冷たいシーツカバーを剥ぎ取る看護士は過去のエレナであり、ベランダからただただ空虚を眺め唾を吐く息子の姿は孫の未来と重なる。

王の涙 イ・サンの決断 역린(逆鱗)

冒頭、イ・サンのために小さな砂重を袋に詰める尚冊から物語は始まることからもわかるように、これは尚冊の物語でもある。原題の「逆鱗」は誰が何に対してか、そして(当たり前だけど)涙なんて生易しいものではない。王大妃のハーレム具合や若々しさがあり…

真夜中のふたり Plynace Wiezowce

そういえば、ポーランド映画祭で「借金』を見たときにイエジー・スコリモフスキ監督の舞台挨拶があったんだけど、さすがお話が面白くて何度も笑ってしまった。次回作の話もちょろっと聞けたのが嬉しかった。公開の時は必ず来日するとの約束も^^イエジーさん…

おやすみなさいを言いたくて Tusen ganger god natt

見捨てられた土地へ赴く報道写真家のレベッカと家族はお互いに分かり合っているはずだった。”行かなきゃいけない場所”があったとして、行くか止めるかそれを選べるということこそ自由なんだと思った。ジュリエット・ビノシュの笑い皺が最強に素敵。 こんなに…

《特集 カルロト・コッタと現代ポルトガル映画》

Cinema Contemporâneo Português com Carloto Cotta 「アリーナ Arena」 「ラファ Rafa」どちらもすっごく好みだった! 日常のなかでふとした瞬間に感じる絶望は、陽の明るいうちにやってくる。ジョアン・サラヴィザ監督 João Salaviza の名前は覚えておこう…

借金 Dlug

ポーランド映画祭2014にて。 クシシュトフ・クラウゼ監督作品1999年の作品なんだけど、今でも全然あり得る話。 偶然出会った幼い頃の団地仲間(立派なロシア人マフィアに育ったw)が、ありもしない負債を脅しでふっかけてくる話。「払えば自由になれる」という…

神は死んだのか God's Not Dead

わたしは苦しまずに一瞬で死にたい。強くそう思った。衝撃のラストから3日後、彼は”言う”だろう。「私は生き返った。今から私が神だ!」なーんてw物語は登校&出勤風景から始まる。爽やかな陽が降り注ぐなか大学にやってくる新入生たち。各々がちょびっとず…

ボートロップの120日 Die 120 Tage von Bottrop

映像ゼミナール2014に参加してきた。 C.シュリンゲンジーフの『ボートロップの120日』とアフタートーク。 まぁ、集まってまで見るような映画ではなかったけど、ニュー・ジャーマン・シネマのオマージュてんこ盛りだったのが面白かった。お話される教授方の顔…

ゴーン・ガール GONE GIRL

なんで「全身ピンクで…」のとこで誰も反応しないんだろう。だいぶ完璧な妻のイメージとしてはおかしいだろうよwあっそういえば、上映前にベン・アフレックのメッセージが流れた!「ゴーン・ガール楽しんでね!ありがとう(日本語)」って(≧∇≦)一番被害を被っ…

フューリー Fury

ジャパンプレミアぶりに観に行ってきた。 前回は席が前方すぎて(生ブラピとローガンをなるべく近く見たくって!)首と腰が痛くなったけど、今回は真ん中のほうにしたから集中してみれた。やっぱ適正な席位置ってあるよね(笑)バイブルの視線の先にはいつも…

ニューヨークの巴里夫(パリジャン) Casse-tête chinois

すっごく面白くって見てる間、何度も笑ったのに、終わったらスゥっと忘れて行ってしまった。昨日みた「白夜のタンゴ」は、アルゼンチンからフィンランドへの舞台でなくてはならない映画だったように、この作品もパリからNYへの舞台でなければならないもの…

白夜のタンゴ Mittsommernachtstango

ちょっと怒ったアキ・カウリスマキで始めたからには、なんらかの形で納得したカウリスマキで終わらなくちゃね(笑)フィンランド、というかアキ・カウリスマキをちょっとでも知らないと面白くないかもってことで、(わたしは)すごく楽しかった!アコーディ…

0.5ミリ

第一声。 「すごいの見ちゃったー。。。」 とりあえず「焼酎とさ」呑みながらぐだぐだしたくなる。 「ちょっとサワちゃん、流しの下から酒持ってきてください」 ハードボイルド・サワちゃん。サワちゃんが現実の壁や歪みを目の当たりにしたとき、大抵のこと…

チェイス! Dhoom: 3

バイク狂騒曲!とばかりにブイブイ言わせてシカゴの街を走り回るアーミル・カーン。サーカスらしくあっと驚くアクロバティックな運転とバイクの超変形やトリックの謎、最後まで飽きずにみた。はじめはアーミルの筋肉、こんなムキムキにする必要あるの?って…

君の目をぬすんで A Tus Espaldas

エクアドル・ニュー・シネマ特集。@セルバンテス文化センターにて。町のシンボルである聖母像を挟んで正面が富裕層、裏側が貧困層となっているとある町の、とある男の物語。 裏側生まれホルヘは幼いころに母と別れ、祖母と暮らしていた。だが大人になって聖…

凍りついた時 Baltazar Ushka: El Tiempo Congelado

エクアドル・ニュー・シネマ特集。@セルバンテス文化センターにて。コンコンザクザクコンコンザクザク。リズミカルで精確な音が聞こえる。 暫くしてまるでスクリーンの向こう側が存在しているかのように魚眼レンズから男の姿が見える。その実験みあふれるカ…

予想外な8月 Mieletön elokuu

フィンランド映画祭にて* カウリスマキ映画ではお馴染みのカティ・オウティネンが主演。とっても可愛かった!!

水面を見つめて Tumman veden päällä

フィンランド映画祭にて*少年の目線で物語、いや季節は過ぎてゆく。 少年にとって母親が甘える相手から守るべき対象に移っていく様が興味深かった。酒癖の悪い父役にサムリ・エデルマン。彼はミッション・インポッシブルの悪役を演じたり(チョイ役だけど)…

コンクリートナイト Betoniyö 

HP* 感覚の洪水。黒の天使。2種類の人間。無垢と暴力文章にできないもどかしさにさっきからジタバタしている。 上映が終わっても家に帰ってきてからもこの胸に渦巻き続けるイメージは途切れる気配をみせない。うまいこと言おうなんて、無駄な抵抗なのかもし…

シャトーブリアンからの手紙 La mer a l'aube

IMDb* シビアな戦争映画とは対極の、死にゆく者一人ひとりに焦点を当てた物語。豪奢な部屋で軍服に身を包んだドイツ側の会話は丁寧すぎるほどだけれど、かと思えば発端となる暗殺のシーンはずっこけるほどあっさりとしている。全体に緊迫感が薄く、感動を誘…

ジャ・ジャンクー、フェイヤンの子 A GUY FROM FENYANG: JIA ZHANGKE

ジャ・ジャンクーの作品は吉祥寺バウスシアターの特集で今年見たばかりで、閉館した場所とともに今は無き懐かしい映画の中の数場面を、懐かしい気持ちで見た。フェイヤンの風景や人々がどんな暮らしをしていたのかわたしはジャ・ジャンクーの映画からしか知…

西遊 Journey to the West

冒頭、あんまりにもあんまりで、ドゥニ・ラヴァンの顔を56分間映しつづけるんじゃないかって、思った。 ちょっとそこまで買い物に行って帰ってきても、きっとそこにいると思う。あとは、「観客のことを考えたことはあるんですか?」って素晴らしい質問だった…

ツィリ Tsili

これは難しい映画だった。少なくてもあらすじくらいは頭に入れたほうがいいと思う。 でもね、原作の本は読んだことがないのでどういうアレンジかもわからないけど、本の中の好きな部分を映像化して、あとの〆はナレーション(同じ文章を二度話すという奇怪さ…

ストックホルムでワルツを Monica Z

今年いちばんのウインクだった!キュン!そしてイヤリング(ピアスでなく、ね) のキラめく映画でもあった。素敵だった!観客の拍手とオーケストラの伴奏、そして白く眩いライトで始まる舞台の幕開け。やっぱり本国のポスターが相応しいと思う。日本のも北欧っぽく…

ファイヤー・ストーム 風暴 Fire Storm

ぶっ飛んでる! 現金輸送車を捕まえるのに、クレーンがしぃぃ! 市民がいようがどれだけの被害がでようがライフルぶっぱなしまくり、小型ミサイル放ち、爆弾で車をふっとばし、最後は「事故です。不注意で」って因果応報とでも言いたかったの?子供と女性に…

トム・アット・ザ・ファーム Tom a la ferme

どんなにカメラが人物と近くても目が合わない。 演技をしているんだから俳優がカメラと目を合わせるわけがないんだけど、あまりにもドアップで、誰もがきょろきょろしているのに目があわない。意図的に無視されているようで自意識を刺激されイライラする。”…

ニンフォマニアック Vol.2 Nymphomaniac: Vol. II

Vol.1で笑いの渦に巻き込んでくれたニンフォマニアック。 Vol.2ではどんな展開が待っているんだろう?とワクワクしてみた。んだが、色々あったんだけど、するすr〜〜っとすり抜けて行ってしまった。特に印象深いシーンがあるわけでもなく。 シャイアが改ま…

ザ・ゲスト The Guest

突然あわられた”悲しみを思い出させる者”は、出された一杯の水を勢いよく飲み干す。それは若々しい残酷なまでの生を感じさせる。終盤、大きなシーツが風に煽られて、洗濯籠を抱えた”彼”を露わにする。真っ白の中に隠れていたものが形となって正体を現したん…

マダム・マロリーと魔法のスパイス The Hundred-Foot Journey

”新しい味”はいつだって古いレシピから派生する。 溢れる人口のインドから、石畳の静かなフランスの田舎町へきたカダム一家。向かいの伝統的なフランス料理レストランのオーナー(ヘレン・ミレン)と争いながら、やがて行き来するようになり、その息子がイン…