トム・アット・ザ・ファーム Tom a la ferme

どんなにカメラが人物と近くても目が合わない。
演技をしているんだから俳優がカメラと目を合わせるわけがないんだけど、あまりにもドアップで、誰もがきょろきょろしているのに目があわない。意図的に無視されているようで自意識を刺激されイライラする。

”恋人”と話しをしたというトムは「自分が憎い/償いをしたいんだ」そういって含み笑いをする。
彼にとって、フランシスは亡くなった彼を思い出させるだけでなく、かっこうの審判者であったのかもしれない。
もっと傷つけ、もっと痛めつけろ、もういいと言うまで。

物語の終盤、トムは鞄から必要なものだけ掴み取り、大きなスコップ?を手に歩いてゆく。
なぜスコップを持っていくの?と思っていたけど、あとでわかる。
フランシスから逃げおおせ、車で走り去るトム。あとに残されたのは道に突き刺したスコップだった。母という重荷を背負うふりをしてその土地を出ることができない理由にしているフランシスとの境界線のように見えた。