【本】2020年のベスト10

後半によく本を読みました。

おもしろく、ものすごく楽しく、実りのある読書でした。ありがとう。

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(9+1の写真になってしまった)

 

コロンブスの図書館 エドワード・ウィルソン=リー 五十嵐加奈子 柏書房 2020/5

戦争の歌がきこえる 佐藤由美子 2020/7

路地裏の伯爵令嬢 ロレイン・ヒース さとう史緒 mirabooks 2020/7

構築の人、ジャン・プルーヴェ 早間玲子

カエサル 内乱の時代を駆けぬけた政治家 小池和子 岩波新書 2020/8

忘れえぬキスを重ねて Lady Derring Takes Lover ジュリー・アン・ロング Julie Anne Long 高里ひろ 抹桑社 2020/9

ウンコはどこから来て、どこへ行くのか 人糞地理学ことはじめ 湯澤規子 筑摩書房 2020/10

大都会の愛し方 パク・サンヨン オ・ヨンア 亜紀書房 2020/11

ケアするのは誰か? 新しい民主主義のかたちへ Who Cares? How to Reshape a Democratic Politics ジョアン・C・トロント 岡田八代 白澤社 2020/10

民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代 藤野裕子 中公新書 2020/8

 

【映画】2020年のトップ6

今年は映画館に数えるほどしか行きませんでした。

COVID-19パンデミックと、経済的に余裕がなかったためです。お金がないってつらい!

テレビで嵐の松潤が「嵐はやみます」と話してくれてるところ。おおきな虹がかかりますように。

 

ハンディキャップ・キャンプ 障がい者運動の夜明け / Crip Camp: A Disability Revolution

プロジェクト・パワー / Project power

トランスジェンダーとハリウッド:過去、現在、そして Disclosure

デリート・ヒストリー / Effacer l'historique

家庭裁判所 第3H法 / Courtroom 3H

ジングル・ジャングル ~魔法のクリスマスギフト~ / Jingle Jangle: A Christmas Journey

 

 

【映画】TIFF デリート・ヒストリー Effacer l'historique /

Benoît Delépine、Gustave Kervern

フランス 2020

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作中面白かったやりとり、機内にて「ウイスキーのダブルですか?」「いや、ヨーグルトのダブルで。」 なんだか彼らは一時が万事一生懸命で間が抜けていて、見ていると肩の力が抜けてくる。何も持たない彼らがありったけの行動力で解決の糸口を踏み倒していく。

クリスティーヌ役の人、エマ・トンプソンに似てた。奇声を発するところはトニ・コレットかな。

解像度が低いカメラで大切な人が出て行った町が映る。いない息子と祝う誕生日、まともな職もない、寝た男に脅される始末。見ていると、彼らの不幸に慣れて鈍感になっていく。それを"オートマ(機械)"と呼ぶらしい。

うーん、好きだけどTIFFで観るような映画か?というと違う気がする。

 

【本】キッズライクアス / ヒラリー・レイル

訳者 林真紀

自閉症スペクトラム障害の高校生が親の都合で米国からフランスの「普通の」学校へ転校することになる間の物語。両親が彼を特別だと気付いた時、マーティン曰く「両親は僕に介入しなければならなくなった。なんて恐ろしい言葉だろう。あまりにも暴力的だ。」

その一言が忘れられない。「介入しなければならなくなった」と。マーティンの愛好するプルーストの「失われた時を求めて」が現実と、超リアルな夢想と呼応して互いの心の距離を伸び縮みさせる役割を果たす。

話は逸れるけど、「失われた時を求めて」の難解さをはぎ取ることを求められて、角田光代さんがあとがきにこう書いてる。「小説を読むということは、文体に触れることだと私は思っている。文体に触れるというのは、作者に触れ、その声を耳にするということだ。」

『キッズライクアス』のあとに『失われた時を求めて』を手に取ったので、"ぼく"にマーティンを重ねて読んだ。逆なのが可笑しい。誰を指しているのかこんがらがってたマーティンみたいだ。

 

【ドラマ】ダッシュ&リリー

Netflix

USA 2020

 

クリスマスソング解禁したので(見た。)

主演は日系、年配の家族は中国、若い家族は南アジアって感じのミックス家族と様々なカルチャーが息づくNY。さらっと流されるけど街の隠れ場がなかなか凝ってて面白かった。あとリリーの演説は生で見たかったやつ。

男の子が女の子を苛めて「だって好きな子だから」で許されることはないんだ、とはっきりきっぱり言ってくれてすっきりした。

アメリカドラマで年始のお年玉が見られるとは思わなかったな。うちも小さい頃ご先祖様の仏壇に手を合わせた後、爺さん婆さんから"ありがたいお言葉"を聞いて流して受け取ってた。懐かし

男性ってクソみたいなことに固執して他人を許さない傾向もあるよねって最終話で暴いてて、「こんな人達に相談してたなんて」ってリリーが言う場面も良かった。目から鱗が落ちるシーンだったよ!

あとデート中の人には連絡しないって決まり。ニューヨーカーは恋人達に優しい。

学校の勝ち組/負け組の話もあったけど、「友達がいるじゃん」のメンツみてあ〜〜〜これは。うん。ぷらすニック・ジョナスって無敵じゃん。ドラマラストの学校内では負け知らずのトンカチ馬鹿男が独りさみしくって図も最高。

 

 

【本】第九の波 / チェ・ウンミ

チゲ事情から始まるのはたのしかったな!韓国の飯が恋しい。。

大家さんの得体の知れないキャラは『コクソン』を想起したなぁ。物影とか水溜りに潜んでそうな。。うわ!って(笑)

 

序盤ちょっとだけ読んで、ソン・イナの静観の描写にかってぇ!と思い頁を本半分ほど進ませてしばらくしてから最初に戻った。石かと思った。タイトルの波に九つの段階があるとするなら、あれは私に"凪"をじっと観察する集中力がなかったってことだなぁ。せっかちだし。ごおっと鳴る"荒波"の場面の面白かったことよ(笑)

話は逸れるけど、『失われた時を求めて』の難解さをはぎ取ることを求められて、角田光代さんがあとがきにこう書いてる。「小説を読むということは、文体に触れることだと私は思っている。文体に触れるというのは、作者に触れ、その声を耳にするということだ。」だから、こんな読み方をしても怒らないでほしい。

好きなページから読むことはよくする。なんならサスペンスを結末読んでから楽しむこともある。

そうそう、『キッズライクアス』のあとに『失われた時を求めて』を手に取ったので、"ぼく"にマーティンを重ねて読んだ。逆なのが可笑しい。誰を指しているのかこんがらがってたマーティンみたいだ。

 

【映画】ザ・コール 콜 / イ・チョンヒョン

Netflix

韓国 2020

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なかなか面白いサスペンスホラーだった。顔の長さほどある旧式のコードレス電話機というアイテムで時を超える。人と人を隔てている赦し難い感情は意識しなければ在ることも、取り去ることもできない。

韓国の時を超える映画を好き。タイトル覚えられないマンなので合ってるのかわからないけどキム・ユンソクのそこにいてくれる公衆電話とかミョンミンのエンドレス、、あと男二人が体育館でプリキュアするやつ。

『コール』で印象的だったのは、初めて境目が割れた瞬間にソヨンの服装の趣味ががらりと変わる。"父親がいる"家庭に育つ少女はお嬢様風の服を好む。大人の少女に成長する。おままごとみたいで"今"には思えなかった。

物質の描写があるだけなので記憶について途中からモヤモヤしちゃった。ソヨンだけが失った今の記憶を保持し続けているのはなぜなんだ。

あと母親を見下す契機になった事件の本当の真相を、ヨンソクもソヨンにある時点まで言わなかった。傷付くと思ったから?そうやって守り守られていたんだな。一方通行だと傲慢に思ってしまいがちだけどそうじゃない。