0.5ミリ


第一声。
「すごいの見ちゃったー。。。」
とりあえず「焼酎とさ」呑みながらぐだぐだしたくなる。


「ちょっとサワちゃん、流しの下から酒持ってきてください」


ハードボイルド・サワちゃん。サワちゃんが現実の壁や歪みを目の当たりにしたとき、大抵のことは「なんでもOK^^」な彼女でもまるで宇宙人を見たような、言葉では表現できない程に「は?」って顔をする。たぶんあれは「テストに出るよ!」印くらい大事なところ。その歪みは見逃がしちゃいけないんだと思う。

おいしそ〜〜〜な料理が小鉢でずらりと(大抵ふたりでの食事が多いのにもかかわらず)並ぶ様はほんとうにお腹がなる。笑
サワちゃんの過去はほとんど描かれないけど、料理の飾りつけのセンスだとか、セクハラのあしらい方、動きやすさ重視の服装だとかに透けてみえる。それで十分。

サワちゃんの服装は庶民的なしまむらのようなところで調達するんだけど、もうヘルパーではなくなっても、介護しやすい服装を選んでいる。誰かの体を持ち上げたとき、ボタンや金属がその人を傷つけないように。そのチョイスに「根拠」なんて多分ない。

196分もあるのに、まだまだ語られなかった空白があるでしょ?見せて!ってねだりたくなる不思議な映画だった。そして反戦映画でもある。ダメ絶対!と、よしおちゃん(津川雅彦)が繰り返し繰り返し申しておりました。選挙の投票に行きましょう。

引越しフェチだから、色んな建物が出てくるのが楽しい。見せかけの日本家屋ではなくてものすごく立派なお家で撮影しているし、家具にしても取っ手が金属になっているタンスなんて懐かしい。縁側で鯵のみりん干しなんて、もうたまらん、あそこで猫の番しながら昼間っから飲みた〜い!


介護の難しさをひしひしと感じた。体重は赤ちゃんより何倍も重くても、身体は同じくらい繊細で、その重身を持ち上げなければならないとき赤ちゃんのように二本の腕だけでは到底足りない。
サワちゃんのように「ちょっと手伝ってー」と言えたらまだいいけれど、言えない家庭はどのくらいあるんだろう。

どのおじいちゃんも良かったなー。最初戸惑っていてもなぜか敬語で返答するのが可笑しかった。礼儀正しいのはあの年代だからこそだよね。
あと、わたしは芸人が出てくる映画って苦手なんだけど、『0.5ミリ』はその見慣れてる感もギャグにうまく生かされていたから、そういう”行動のおかしさ”を期待しながら、彼らを楽しく「観察」できた。楽しかった。

ひとつビックリしたのが、劇中ある人物が「ママーー!」と叫んだところ。両親があの人とあの人という配役からして遅く生まれた子なんだろうし、純日本家屋に住んでいて当然”お母さん”だと思ってた。なんだろう、このギャップは。そうか、これが0.5ミリか。(チガウ)