【映画】『コントラ』アンシュル・チョウハン

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SKIPシティDシネマ国際映画祭2020にて。

コントラ』見た。受賞に足る雰囲気というか貫禄があった。モノクロ映画ってさ、なんでわざわざ白黒にすんの?って苦手だから思うんだけど、見終わってからじゃないと理由が得られない。殻が厚くて中身が見えないアボガドみたい。

トラックは世田谷プレートだったけど、ソラたちの家はそこまで東京から離れていないのかな?

それまで無機物に向かっていたソラの凶暴性が同じ人間に向くとき、だからアレを埋めたのだと判る。モノクロは錆の色。

撮影がフェチいなと思った。あとお経唱える喪主って初めてよ。御坊さん呼ばないのは資金面からなのだろうけど。

まわり中が近親者だと隠すのも上手くなる。感情の発露が極端だよなぁ。おじいさんの手記はとても落ち着いていて絵も美しく、だからこそ何故人は暴力的に振る舞ってしまうのか不思議に思う。そして後向きに歩く男が現れて何でも手掴みで食べる。

前を向いて私を見てよ!

 

なんとなく『コントラ』のことを考えてるんだけど、お祖父さんをみおくった朝、ご飯と目玉焼きを用意して足早に仕事に向かう父とひとり残され黄身をすするソラ。ひとりぼっちなソラが後ろ向きに歩く男を無理矢理連れ帰って、「これも食べてあれこれも」と世話を焼く。誤解を恐れずに例えれば、人形遊びみたいなものだったのかもしれない。バナナの食べっぷりが良かった。

コントラ』はステレオタイプな悪事を働こうとする者はいるけど、それとはまた別に、根底に潜む人間の残虐性とか支配構造というものの恐ろしさがある。だから人間は繰り返すんだと思う、繰り返さないように人間でいないといけない。