シュテルン、過激な90歳 Frau Stern

シュテルン、過激な90歳
Ms.Stern
Anatol Schuster
2020
ドイツ
SKIPシティDシネマ国際映画祭2020

 

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ベルリン在住。90歳(正確には89歳)になっても生きる意味とか孤独とか信仰とか健康とか人間関係(とか書ききれないほど山程)にうんざりしながら折り合いをつけて生きてるんだなぁというのが知れて、がっかりするような納得するような。

 

ホロコーストを生き延びたシュテルン。「私はなにも忘れてない。許すことはあっても忘れることはない。」彼女のまわりに同年代がいないことに気付いていたけれどシュテルンの気質によるものかと思っていた。そして偶然かどうか、最後には三世代の女たちが画面に生き残っている。

 

オープニング、シュテルンの性別がわからなかったんだけど(服の色が赤ってだけじゃ弱い。特にベルリンが舞台では。)90歳のシュテルンはその歳に相応しない様々な服装を楽しむ。彼女が好む、サマータイムや星の時間などの「時刻を進ませる」魅力は期限があることなのかもしれない。

 

歩きたくなる映画の街ベルリン。若者が躍り狂うディスコ、開放した窓辺で煙を吸って、たまにグザヴィエ・ドランっぽいカットがある。なんとなく「死にたい」とは対極にある人たちが集まる場所に死はあると思う。

 

若者のあそびに加わるおばあさんの図も違和感なく楽しそうだったのがいい。本当に孫と仲良しなんだなぁ。

 

見てて感じたのは、家族っていいなぁ。家族の単位ではなくて、シュテルンにはシュテルンの交友関係があり、孫エリーにはエリーの友達が大勢いる。シュテルンとは本来交わらない友情がエリーの交友関係を通して描かれる。それはどういうことかというと、街に知り合いができるということ。立ち往生していたシュテルンを助ける若者の姿が印象的。