【本】同性婚論争 「家族」をめぐるアメリカの文化戦争 / 小泉明子

慶應義塾大学出版会

2020/10

 

すんごく面白い。最後の争点となった連邦最高裁まで読み進めてるんだけど、あのルース・ギンズバーグ判事が登場する。9人のメンバーの集合写真もあって、『ビリーブ』のメンバーや!興奮したw 笑っている和やかな雰囲気が意外。(でもギンズバーグは政治上の意見対立を人間関係に持ち込む人ではなかった。)

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1930年代からの歴史的過程を追ってきたことで頭のなかで応援する気持ちが高まって、最高裁判決の結果に知っているはずなのに驚いた。9人中4人もの反対派(保守派)がいることに。2015年の時点でギリギリだった。

ハワイに反応してしまうお年頃(ハワイファイブオーにハマっている)、『同性婚論争』でハワイ州最高裁は「同性婚を認めないことは性差別にあたる」と判決を出す。全米が衝撃した1993年の判決は世論の6,7割の反対や宗教右派の大金を注ぎ込んだキャンペーンにより覆される。住民の6割は「婚姻は男女の結びつき」を支持していた。ファイブオーが製作された年はどうだっただろう。

そもそも「婚姻する権利とは何か」の言及には、大好きな映画『ラビング』の裁判にフォーカスしている。リチャードは訴える。「婚姻する自由は、自由な市民の幸福追求にとって不可欠な個人的権利の一つであると長く認められてきた……」さまざまな裁判の記録等を原文訳と要約でまとめながら『同性婚論争』は進む。

ほんと映画な権利運動と宗教右派のシーソーゲームが凄く面白い。他人事じゃないんだけど。論争の蓄積が今のアメリカなのだからめちゃくちゃリスペクト。日本は「削除しておきました」なんだから…

いいも悪いもなく法廷をただただ見る(超編集)ラテンビート映画祭『家庭裁判所 第3H法廷』を想起した。言葉が行き交う場だから。