ブーブル
Bulbbul
Anvita Dutt
インド
2020
音楽がめちゃくちゃいいな!と思ったら監督が脚本と作曲を担当しているのだった。音楽はインド映画の第二の命だからな。
『ブーブル』は、我が推しParambrata Chattopadhyay(彼はベンガル語とヒンディー語の二つ名前がある。「女神は二度微笑む」のR警官)がまたしても奔走する者の「側にいて足になる」人物だった。そういう関係性すんごい好きなんだってば。
下心ありますって宣言してくれる紳士な優しさ、臆病さがたまらない。
いや…少し違うかな。彼は医師だから、傷ついた血に触れて診てくれる人かな。「ここじゃないどこか」とか「ロンドンに逃げる男」と違って。いい雰囲気のシーンが赤いトーンで描かれているのはあくまで復讐劇だという「一線を越えない」ことを示しているよう。煙草が格好いい映画でもあった。
「夫人と呼ばないで」と言い続けるブーブルと「夫人」と呼び続ける医師。
『ブーブル』は報復劇。「犯人は男だ」と決めつけて「ストーリー」の足跡を追うサティヤは最後の最後まで自分の立っている場所がわかっていない。ブーブルとの物語を途中で放り出してしまったから。「証拠がなければ裁けません。」逆も然り。
ブーブル役のTripti Dimriが肘を曲げたときの盛り上がった筋肉が印象的で、孔雀の扇を仰ぐ優雅さと筋肉が不釣り合いな感じがしたけど、後半になるほど納得。これは怪談なんだ。
若いときの彼女は歩くとシャンシャン鳴る装飾が印象的。ところでベンガル地区が舞台の映画に古い屋敷がよく出てくる気がする。
『ブーブル』はサタジット・レイの作品を想起させるシーンがたくさんあった。天蓋のベッドと中庭は良いものですね。「個人的なこと」は夫によって遠ざけられてしまうけれど。
それにしてもラーフル・ボースがアレで登場したときの驚きよ、、双子ってまじか。