不機嫌なママにメルシィ!

★★★☆☆

顔パックをするギヨーム。
鏡台にはママからのメッセージ「頑張って。見守ってるわ」、能のポストカードに日本語のサインなどが映る。
時間がくると、サッと顔を拭って素肌になる。肌を気遣う女らしさとその素肌のまま舞台へと向かう男らしさを感じた。
”らしさ”っていうと決めつけっぽく聞こえるかもしれないけれど、素直に素敵だな、かっこいいなって思ったから。
ステージへ向かうときの静かで確かな音楽が良かった。深呼吸をして、タイトル。「Les garcons et Guillaume, a table!」

これはギヨームが自分の性に気付く話だ。

深い愛情と冷酷な心の相反するものを持ち合わせている、憧れで、愛を求める相手で、とても強い。そんなママになりたくて女性になりたくて近づいていく。女性のしぐさを観察するようになる。

面白かったのがパパにも認めてもらいたいと思っていたこと。身内に拒絶されることを恐れないのがギヨームの強さだと思った。

一人バカンスで訪れたスペインで、はじめは言葉も何もわからなかったのが、フラメンコ踊りも言葉も習得していて、すんごい適応性だな(笑)日頃の模倣の成果かなw
パキというステイ先のおばさんが、なぜ女の振り付けを教えたのか、そこには悪意はあったのかなぁ、やっぱり。
でも、女っぽかったって言われたギヨームが「ありがとう。ママが聞いたら喜ぶよ!」って満面の笑顔で予想の斜め前の回答をしてて笑ってしまった。
ギヨームを好きになった瞬間。

ちょいちょい神出鬼没なママが面白かった。
男子寮のトイレから出てきたり、ギヨームにアドバイスというか忠告をする。ママがギヨームに娘を期待していたのなら、ギヨームもママから得られないものを幻想として抱いていたのかもしれない。だから守護者のように危機に陥った時に現れる。

暗闇から観客席が現れて、本当のママが座ってる。
「伝えたいんだ」
そうか、これは告白の映画なんだな。